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かつてユメで飛んだナツの話

世界の可能性は白と黒だけじゃない。

白と黒の間に点在する無数の色のように世界には個人の可能性と全体の可能性を掛けあわせた無限の可能性が存在する。

しかし、それは流れの可能性。
パソコンの処理の原則が0と1だけの組み合わせのように、生物の状態が生か死かの2つのように、やはりこの世界にも無限の可能性を持たぬ時点は数多く存在する。

成功と失敗。飛翔と墜落。存在の有意と無意味。

残酷に聞こえるがそれが世界というものだ。

自分が今でも度々鬱になる原因である「存在価値」を考え始めたのは約10年前。

そうあれはまだ小学4年制の頃だった。





どもども。
ナツユメの妖精を見てたらふとMGS4の過去を思い出すように頭によぎった映像があった。

名前こそ無いアゲハ蝶、まさに『ジェーン・ドゥ』だが、自分の人生20年の中で最も泣いた記憶だ。


追記に長々と書くけど読んでくれとは言わない。
書いてるだけで何度も泣いた。

ナツユメの「dripping」聴きながら書いたせいかもしれないね。


どれだけ忘れないと誓っても、それでも人間の記憶は風にゆらぎ風化してしまうなんて残酷なものなんだろう。

君がいた夏。同時にある少年が永遠に続く罪を背負った夏の記憶。

時は遡り2002年頃の8月中旬。
まだ走る列車は懐かしさ漂う旧型の車両だ。

沿線にはミカンの葉が生い茂る一角がまだあった頃の話。

小学4年での授業でアゲハ蝶を育てるというものがあった。
恐らく理科か何かの授業だろう。

自分は授業で捕まえた1匹と、その沿線の蜜柑の木で捕獲した4匹の幼虫を持ち帰って育てた。
その中の1匹に、君がいた。

それぞれを別のケースで飼いたかったが数が足らず、1つだけ2匹を入れたケースを含めて4つのケースで育てることにした。

基本的には水で湿らせたティッシュを数枚重ねてケースの底に敷き、餌となるミカンの葉を採取するだけだ。
ある程度汚れてきたら取り替える。


そんな日常が続いた。

第2幼齢へと脱皮した。サイズがほんの少し大きくなる。当時は皮を脱ぐのに大きくなるということがよくわからなかったものだ。

餌であるミカンの葉も問題ないらしく食欲旺盛だった。

第3幼齢への進化を遂げた。
何事も問題なく育っていたが、第4齢の時にある問題が起きた。
2匹入れていたケースの中で片方が片方を食い殺したのだ。

同じ種とはいえそういうこともあるものなのかとある意味では驚いていた。

そして終齢の6齢、緑色になるあの幼虫だ。
学校で採取した幼虫は他の3匹よりも2週間ほど早く6齢へと脱皮し、やがて蛹となった。
蛹となった場所はなんとタンスだった。

やがて蛹は変色してゆき、ある朝ゆっくりとその姿を蛹から出し大きな羽を広げた。
そして羽が乾きしばらくすると家の中を飛び回るようになった。

その日に学校へ釣れだし同日に孵化した成虫とともに空へとはなった。


だが、私の育成記はまだ終わらない。

その4日後には次の成虫が孵化し、蜜柑の木があるところで放った。


そしてだ、一番大きく、一番元気だった君は窓の金網に蛹を作った。
しばらくは窓を閉めることがでいなかったがやがて孵化するであろう前日の夜。

自分はずっと金網に止まる君の蛹を眺め続けていた。

そして翌日。早く起きて蛹を確認する。
孵化する瞬間だった。

君はゆっくりとその体を出してゆくが…
広げるはずの両羽は折り畳まれたような状態で癒着していた。
一度は何とかしようとしたが、必死の抵抗むなしく、その羽根は完全に広がること無く乾いてしまう。

飛び立とうにも空を仰げず空気をうまくコントロール出来ない不完全な翼。

すぐに床へと落ちてしまった。

最初は何度もとぼうと空を目指すがその数だけ床へと戻ってきた。
自分にはどうすることも出来ず、家にあった中くらいのダンボールに幼少期と同様に湿らせたティッシュとぬいぐるみを置き君をダンボールへと誘導した。

幸いそのダンボールを住処と認識してくれたのか、それともただ暗闇へと引きこもっただけなのか、君は段ボールで生活するようになった。

母からは持っても1週間ぐらいと宣告され、自分はやがて来るその最後まで面倒見ると両親に話した。


父も母も愛着が沸くほどに最後が辛くなると言われていたが、飛べない君を自然に放つなど到底出来なかった。
あの時母に言われた言葉が今でも頭に残っている。
「数日間飛べない、蝶としての役割を果たせないままいかすよりも今死なせてあげたほうが幸せかもしれないよ?」

まさにそうだ。恐らく君が飛べる可能性はゼロに近い。
その命尽きるまで君に飛べない絶望を抱いて生きろと自分は言っているのだ。
君からしたらどんな気持ちだったのだろう?

それでも自分はその言葉を突っぱねた。
そもそも自然で過ごしていればこんな事にならなかったかもしれない。

普通に飛べる翼を手に入れ、自由に飛び回っていたかもしれない。

それを自分の身勝手で家に連れてきた。
なら最後まで自分は身勝手にすると決めた。

今考えれば最低なことだ。自分ではない別の命を自分の都合で連れ回しているだなんて。
母はそれ以上何も言わなくなった。


3日が過ぎた。学校は夏休み中だったおかげで1日中、君の世話をすることができた。
君は空をとぶことをまだ諦めてなかった。
ダンボールから時々出てきては必死で羽ばたいていた。

5日が過ぎた。
少しずつ飲む水の量が減ってきた。君の動きも前ほど活発ではなくなった。
恐らく迫ってきているのだろう。

自分は君を連れ出した場所、沿線の蜜柑の木へと君を手に乗せて出向いた。
掌に乗っている間は羽ばたこうとはしなかった。

ミカンの葉を見つめる君には何が写っていたのだろうか。自分にはわからなかった。

7日が過ぎた。ダンボールから出てくる回数が減ってきた。
もう1日中ぬいぐるみにしがみついているだけの日さえもあった。

母は自分に「最後まで逃げないこと」といった。

もちろん逃げるつもりはない。
その最後の一瞬まで見届けるつもりだ。

8日が過ぎた。
もう殆ど動かない。動くのは不完全な翼と触覚ぐらいだ。
それでも水を飲んでいる。

9日が過ぎた。
朝から水を飲んでいない。
自分は君を手のひらに載せ、必死で涙をこらえた。
まだ生きている君に涙を見せるわけにはいかなかった。

夜が来た。自分は何度も何度も誤り感謝の言葉を君にかけた。
「僕は君を忘れない」
君は無価値な存在などではなかった。
自分の前で必死に生きる姿を見せつけた。

君は不完全ではなかった。
その生き様はいつだって自分に希望をくれた。

やがて動いていた羽と触覚が動かなくなる。
自分は手に平に乗せたままただ座り込んでいた。

正確な時間はわからなかったけど、君は自らの命の灯火が消えるその瞬間を自分に見せてこの世を去った。

もう動かぬ君を掌にずっと乗せたままただ泣き続けた。

翌日、家には土がないので学校へ持って行き恐らく誰も掘り返さないだろう場所に君を埋めた。
沿線の蜜柑の木の枝を1本、ただそれだけを目印にして。

名もない君はどうだったのだろう。
やはり不幸せでいい人生ではなかったのかもしれない。

それでも君が見せてくれた命そのものを自分は一生忘れない。
君の命を自分はずっと背負う。

それでもやっぱり、名前ぐらいつけてあげればよかったね。

今はもう沿線の蜜柑の木も、君を埋めた土すらもなくなってしまったけれど、せめて自分の心の中では大空を舞う存在で有って欲しいと願う。

2012.8.19
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Author:cube37
「それでも自分は自分でしかない」

何にだって一途でまっすぐに。
…重い? すみません

色んなことに手を伸ばしたがる性格…みたいです

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